【音楽配信に新風!?】Spotifyがアーティスト個人で音源を配信&収益化できる新機能のベータ版を開始した!

音楽配信のSpotifyが、新機能として事務所に所属せず個人で活動しているのアーティストが、自由に音源をアップロードできる機能のベータ版を公開した。

Spotifyが独立系アーティストを対象に新サービスのベータ版を開始

Spotifyの発表によるとすでにNoname、Michael Brun、VIAA、Hot Shadeといった一部のインディペンデントアーティストたちやレーベルがこの新機能を試している最中だという。

このベータ版では、アーティストがリリース日を設定する前に配信タイトルの表示プレビューができたり、リリース後にメタデータを変更することも可能だという。さらに配信状況に関するレポートを受け取ることができるそうだ。また音源は、無料でアップロード可能で配信にかかる手数料は一切なし。ストリーミング回数に応じて支払われるロイヤリティは、毎月、アーティストの指定口座に直接支払われるとのこと。

アーティストが受け取る収益面に変化が訪れる?

このようにレーベルに所属していない無名アーティストでもSoundCloudBandcampのように自由にSpotifyでストリーミング配信を行い、収益を得られるようになることは革新的だ。現状、Spotifyでは先述の2サービスのようにアマチュアアーティストが自由に音源をアップロードすることは不可能。もし、配信を行いたい場合は、Spotifyに公開できる術を持つレーベルと契約するか、もしくは個人でも契約可能なTuneCoreのようなサードパーティ業者と契約するしかない。しかし、今回の新機能が実用化された場合、こういった状況は大きく変わるはずだ。

さらにアーティストが受け取る収益面でも変化が訪れることは間違いないだろう。音楽マネジメント会社のHeroicが運営するアカデミーによると、アーティストがSpotify配信で得られる収益は、まずSpotify側が30%、レーベルなどリリースの権利者側が70%という形で分配され、その70%をさらにレーベルとアーティスト間で取り決められた契約条件に則って分配するのが通例になっているとのこと。

参考:Spotifyは、なぜ2兆円もの企業価値がつくのか?ビジネスモデルを図解して読み解いてみる
https://note.mu/tomokikurosawa/n/n892419135eb4

 

しかし、今回の新機能が正式に開始された場合、例えば、独立系レーベルに所属するアーティストは、これまでと違い”仲介役”を通さずSpotifyに直接配信可能になる。そのため中間マージンがなくなり、手元に入るストリーミング収益がこれまでより増加することになるだろう。またレーベルに所属していないBandcampやTubeCoreのようなサービスを通して音源を販売しているようなアマチュアにとっても手数料なしでストリーミングによる収益獲得のチャンスが訪れることになるのは非常に魅力的ではないだろうか?

競合他社にとっては驚異?

ただこれが実用化されることで、Spotifyの競合相手であるSoundCloudといったアマチュアも使用できるサービスやこれまで配信の仲介役を務めていたレーベル相手のアグリゲーターなどはビジネス的には苦境に追いやられる可能性も決して否めない。ただ使用料無料で収益化まで実現するこの機能に対する期待も個人的には大きいことは否定しない。

なお、先述のアーティスト以外にアメリカ拠点のインディペンデントアーティスト2〜300組が、この新機能のベータ版に招待されており、将来的にはその招待者数を増加させる予定があるとSpotifyは伝えている。その際は是非日本のアーティストにも門戸を開いてほしいものだ。

参考:

https://artists.spotify.com/blog/now-in-beta-upload-your-music-in-spotify-for-artists

https://heroic.academy/artist-guide-spotify-playlist-royalties-verified-profiles/#

https://note.mu/tomokikurosawa/n/n892419135eb4

http://magazine.styrism.com/1083/